こんなお困りごとはありませんか?
- 自分の死後に親族でトラブルにならないようきちんと遺言書を作成しておきたい
- 遺言書は自分で書いたらいいのか?無効と言われないように作成したい
- 事業を手伝ってくれている子や孫に継がせたいが遺留分の問題があると聞いた
このような場合弁護士にご相談ください。
遺言書作成のメリット
1.遺産の分配の希望の実現
遺言書を作成していない場合ご自身の遺産は法定相続分に従って相続されることになります。もし、「長男には不動産を、長女には預金を渡したい」などの希望があっても希望通りにはなりません。遺言書を作成することによって、自分の財産の分配方法や特定の遺産の受取人を明確に指定できます。
2. 手続の簡素化
遺言書があることで、遺産分割の手続きがスムーズになり、相続人にとっての負担が軽減されます。これにより、相続手続きにかかる時間と費用を節約できます。
3.紛争の防止
生前に遺産の分割について指定しておくことで、遺産分割をめぐる相続人間の争いを防止することも可能です。但し、遺留分に配慮した遺言を作成しないと却って紛争を誘発する可能性がありますので遺留分に配慮した遺言を作成する必要もあります。
遺言書作成の方法
遺言書の種類は民法に、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言が規定されていますが、ほとんどのケースが自筆証書遺言か公正証書遺言です。
第1、自筆証書遺言
1.自筆証書遺言とメリット・デメリット
自筆証書遺言は、遺言者が自らの手で全文を書き、日付と署名・押印をした遺言書です(民法968条)。メリットは、手軽に作成できることや費用が掛からないことです。
デメリットは、➀方式に則って作成しないと無効になる可能性があること、②遺言書が紛失したり隠匿される可能性があること、③被相続人の死亡時に裁判所に提出して検認が必要なことです。
2.自筆証書遺言の作成方法
民法の条文に詳しく書かれていますので条文を見ながら解説します。
(1)作成には全文、日付、氏名の自署と押印が必要
民法968条1項は、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と定めており、全文・日付・氏名の自署と押印が求められています。(遺言が複数枚にわたる場合)
ところで遺言に書きたい内容がたくさんあり複数枚にわたる場合がございます。この場合、一体性の確認の為に割印(契印)などが必要かについては民法に規定はありません。
この点に関し判断した最高裁の裁判例は「遺言書が数葉にわたるときであつても、その数葉が一通の遺言として作成されたものであることが確認されればその一部に日附、署名、捺印が適法になされている限り、右遺言書を有効と認めて差支えないと解するを相当とする。」(最高裁昭和36年6月22日判決)と割印(契印)がなくとも、一体であると判断できれば有効としています。
しかし有効性に疑義が生じないように、当事務所では、複数枚をホッチキス止めしたうえで、割印(契印)を押すことをお勧めします。
なお、後に述べる自筆証書遺言保管制度ではホッチキス止めや契印はしないように求められていますので気を付けてください。その理由は一枚ずつデータ化するからとのことです。
(2)財産目録はパソコンで作成しても良いが目録に全て署名押印が必要です
(1)で述べたように自筆証書遺言は原則全て自署で作成する必要がありますが、財産が多くなるなどすると全て自筆では大変ですし、誤記の可能性が高まります。
そのため、民法は968条2項において、遺言者の負担軽減の為に、自筆証書に一体として「相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。」とパソコンなどで作成することを認めています。
但し、この場合において「遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。」と目録に全て署名及び押印が必要と定めています。
(3)自筆証書遺言の訂正の方法
訂正の方法も民法が定めていますので条文を基に見ていきます。
民法968条3項は、「自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」と定めています。
条文はわかりにくいですが、簡単に言えば、遺言書上に遺言書の「何行目のなんという記載を変更したと」明記のうえ自署を行い、変更の箇所に変更の内容を記載のうえ押印しなければならないということです。修正のやり方を図解しているホームページも多数ありますので参考にしてください。
3.自筆証書遺言保管制度
「自筆証書遺言書保管制度」とは、令和2年7月にスタートした新しい制度ですが、遺言書を作成した本人が法務局に遺言書を預けることができる制度です。
この制度のメリットは、
➀遺言書の隠匿や紛失や改ざんを防止し、相続を巡る紛争を防止することができること
②遺言書の保管申請時に、法務局の遺言書保管官による外形的なチェックが受けられ、方式が不備で無効になるおそれがないこと
③遺言書は原本と画像データとして長期間適正に管理され相続が発生した場合、法務局から相続人に対し自筆証書が保管されている旨の通知がなされます
また、
④費用は公正証書に比べて安価です
⑤相続発生時に裁判所による検認も必要ありません
このように自筆証書遺言書保管制度は非常に使い勝手の良い制度ですので、有効活用をご検討ください。詳しくは、https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html を御覧ください。
第2、公正証書遺言
1.公正証書遺言とは
公正証書とは、書いて字の通り公証役場において公証人に作成してもらう遺言の事です。
作成の方法は、民法969条に定められており、遺言者が公証人と証人2名の前で遺言の内容を口頭で告げ、公証人がそれを文章にまとめて作成されます。
実際の実務では、公証人の方と公正証書作成日前に事前に直接あるいは電話やメールで打合せを行って文案を作成してもらいます。
遺言をされる方は、作成の為に事前に公証人の方から本人確認書類や遺産に関する資料を求められます。
そして、遺言者は公正証書作成当日公証役場に出頭し、証人2人に出席してもらい公正証書を作成してもらいます。
なお、証人2人は遺言者で準備しても良いですし、公証人にお願いすれば準備してもらえますので、遺言者の方でわざわざ準備する必要まではありません。
2.公正証書遺言のメリット
➀公証人が関与するため有効性に疑義が生じることが少なく無効になる可能性は低いですし自筆証書と違って内容面でも有効性に疑義が生じない内容で作成されます
②原本は公証役場で保管されるため、紛失や偽造の心配がありません
また、
③相続発生時に家庭裁判所の検認手続きが不要です
このように公正証書は非常にメリットが大きいです。
3.公正証書遺言のデメリット
メリットは、公正役場との連絡や出頭をしなければならず自筆証書に比べて面倒な点や費用も必要なことです。
しかし、費用は数万円ということが多くデメリットよりはメリットが圧倒的に大きいと思われます。
なお、費用面を気にされるなら、法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用を検討されると良いかと思います。
遺言書の作成を弁護士に依頼するメリット
(1)法律知識の活用
弁護士は遺言書の作成に関する最新の法律や判例を熟知しており、法的に有効で確実な遺言書を作成することができます。
特に自筆証書遺言を作成する場合は、形式的なミスや内容の不備により遺言書が無効になるリスクを避けることができます。
(2)複雑な相続問題への対応
相続人が多数の場合、遺産が多岐にわたる場合など、複雑な相続問題に対して適切なアドバイスを受けることができます。また、相続税の節税対策を含めた遺言書作成の支援を受けることができます。
(3)民亊信託の活用
遺言に民亊信託を活用することで遺産を子の後は孫に継がせたり、円滑な事情承継を実現することが可能です。
(4)紛争の防止
弁護士が遺言をされる方の意思を重視しつつ遺留分に配慮した遺言の作成をアドバイスすることで将来の紛争の防止が可能です。
(5)手続きの簡素化
弁護士が遺言書作成の手続きや必要な書類の準備を代行します。また、弁護士は公証人と連携して公正証書遺言を作成することができます。ですので、遺言者の負担が軽減されます。
(6)保管と発見のサポート
遺言書の保管方法や、遺言者の死後に確実に遺言書が発見されるようなサポートを提供します。
(7)遺言執行者
遺言書作成時に弁護士に遺言執行者を依頼することもできます。遺言執行者とは遺言書に記載された内容を実現するために必要な手続きを行う人のことですが弁護士を遺言執行者を指定することで、遺産の分配や各種手続きを円滑に進めることができます。
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