コラム

触法障害者等の弁護・支援

去る2月27日、兵庫県弁護士会で行われた「触法障害者等の弁護・支援に関する研修」に参加しました。
研修の内容は、罪を犯した被疑者・被告人の方が障害等が原因で罪を犯したと疑われる場合、弁護士が社会福祉士などの福祉機関の方と連携して被疑者・被告人の方の障害等の調査・環境調整を行い、刑事罰を与えるよりも社会内で福祉機関の支援のもと安定した生活を送ることが再犯防止につながるとして検察官、裁判官を説得し、被疑者・被告人の方により寄り添った弁護を行うという内容でした(いわゆる「入口支援」)。兵庫県弁護士会では4年ほど前からこの制度を既に運用しています。

私も刑事弁護には少なからず取り組んでおりますが、実際に警察署等で被疑者被告人の方と接見(面会のこと)すると、障害(知的障害等)が犯罪の原因となっているのではないかと思われる方に一定数お会いします。
兵庫県弁護士会の「入口支援」制度を活用することで、罪を犯してしまった被疑者・被告人の方のたちなおりの機会が提供できその結果再犯防止に結びつくのではないかと思いますので私もこの制度を積極的に弁護活動に活かしていきたいと考えています。

なお、先日ふとテレビを見ていたところ、ETV特集「居場所があれば立ち直れる~累犯障害者 社会で生きるために~」という番組が放送されていました。
障害がありながら必要な支援が受けられず再犯を繰り返してしまう”累犯障害者”に対して長崎の福祉機関が弁護士等と連携して様々な支援を行い実際に効果を挙げているというものでした。その支援は番組名の通り刑務所から出所する方の環境調整(「出口支援」といわれてます)だけではなく入口支援も行っているようです(障害が原因で強盗致傷を犯してしまった方の入口支援が照会されていました。)。

今後、このような取り組みはすでに徐々に拡大していくものと思われます。私も一弁護人として個別の事件を通じて少しでも制度の発展に寄与していきたいと考えています。