本日、兵庫県弁護士会で行なわれた「国税不服申立制度に関する研修」に出席してまいりました。
同制度は、簡単に言えば税金に関する税務署長などの処分に不服を申し立てる制度ですが、平成28年4月1日から国税通則法(不服審査部分)の改正法が施行されより使いやすい制度になったとのことでした。
国税不服申立制度は、裁判とは異なりあくまで行政上の不服申し立て制度ですが、一般の不服申し立て制度と異なって特別の審査機関として「国税不服審判所」が置かれています。
そのため行政内部という制約はありつつも、公正かつ適正な事件処理ひいては税務行政の適切な運営の確保をできる限り行うという趣旨のもと運営されているとのことです。
同制度のメリットは、
- 簡易迅速な手続きであること(但し平均1年はかかるようですが・・)
- 違法なほか不当な処分も見直すこと(裁判は違法な処分のみ取り消し)
- 審査手続き内で、処分を行なった税務署から証拠の開示を求める手続きがあること
などメリットも多いようです。
手続きが裁判と異なり特殊な点もあるので注意が必要であるとともに、工夫をすれば裁判とは異なった活用ができるようです。
実際に裁判に比べて申立人の勝訴率が高いとのことです。但し、これについては、裁判の前提として同不服申立制度が前置の仕組みなので実際のところ制度の利点が勝訴率に反映しているのかはわかりません。
なお、今回の講義は、座学のあとに、講師を務めてくださった任期付審判官の方から、執務の状況についてざっくばらんにお話いただきました。行政内部という制約があるものの、法解釈や個別事案の検討について、適切な法の執行を追及して記論を尽くして結論を出されている様子などがわかり大変参考になりました。