コラム

中国地方弁護士会連合会と鳥取県若桜町

私が、本年8月末まで所属していた鳥取県弁護士会で本年「第70回 中国地方弁護士大会」が開催されました。

中国地方弁護士大会は中国地方の5県が加入する中国地方弁護士会連合会のうちひとつの弁護士会が毎年持ち回りで開催している大会です(近畿では近畿弁護士会連合会があり、同様の大会が開催されています)。

メインイベントは、「シンポジウム」と宣言決議になります。「シンポジウム」とは法的手続きで課題となっている分野について基調講演やパネリストによる討論により議論を深め情報共有を行なうものです。宣言決議は、法的な課題に向けて中国地方弁護士会連合会として宣言を出すものです。

最近日本弁護士会連合会の人権擁護大会で死刑廃止の宣言を出しましたが、その中国地方版といえるものです。

もっとも、そのようなまじめな催しのみならず年1回の弁護士間の懇親や情報提供のために、懇親会や旅行やスポーツも企画されます。

さて、本年度の中国地方弁護士大会のシンポジウムは、「司法面接と多機関連携 ~子どもの話を聴くために~」でした(私は、神戸での業務の関係でメインイベントのシンポジウムには参加できませんでした。)

その内容を簡単に紹介しますと、子どもの関わる事件等が発生した場合、子供は被害者や目撃者として、児童相談所、家庭裁判所、あるいは警察等まざまな機関で話を聞かれ、2次被害が生じてしまう可能性があります。また、子どもは、誘導や暗示を受けやすく、誘導や暗示を含む質問がされてしまうと、正確な事実の聴き取りができなくなる可能性があります。

「司法面接」とは、①誘導や暗示を排除して正確な事実を聴き取ること②被害にかかる聴き取りを可能な限り少ない回数として二次被害を防ぐことの2点を大きな目的とした面接手法であり、子どもに関わる多数の専門機関が連携をして行われるものだとのことです。

司法面接」は現行の法制度上正式な手続きとして採用されているものではありませんが、様々な方が実現に向けて努力されています。

実際に、シンポジウムに出席された弁護士の方に話を伺うと、「司法面接」は子供からの聴き取りに有効であり、それのみならず、普段の業務の中の依頼者の方からの聴き取りにもその考え方や理念を応用できるとのことでした。また、機会があれば私も参加をしたいと思います。

私は、残念ながらシンポジウムには参加をできませんでしたが鳥取県で執務していた関係で今回鳥取県内で開催された旅行に参加させて頂きました。

今回の旅行の目的地は「若桜町」でした。

若桜町は鳥取県の南西部に位置する緑豊かな山間の町です。若桜鉄道のSLや「氷ノ山」のスキー場が有名です。

今回の旅行では、まず、若桜鉄道のSLの見学と乗車(といっても100メートルほどでしたが)をしてきました。

このSLは長らく展示されていたものを復活させるべく町の有志の方が6000万円の募金を募り、また、若桜鉄道の職員の方が少人数でこつこつとメンテナンスを行い復活させたものとのことです。募金はSLの移動費だけで消えてしまい、その後復活のため職員の方による不断の努力を用したとのことでした。

SLのベアリング技術は当時の技術では未発達でるため、少し走行させるだけでも200箇所もの駆動部分にいちいち潤滑油を入れなければならずその油の量も針金に巻きつける糸の量で調整しているそうです。そのため現在も走らせるだけでも大変なコストと維持管理が必要とのことでした。

SL見学のあとは、若桜町の観光協会の方にガイドのもと若桜町を散策しました。若桜町は昔は山陰と山陽を結ぶ街道沿いの交通の要所にあり立派な町並みが残っていました。

最後に、不動院岩屋堂というがけの上に築かれたお堂の見学にも行ってきました。鳥取には「投入堂」という有名な観光地がありますが、不動院岩屋堂地元では3大投入堂といわれている立派なお堂になります。

若桜町は、観光に力を入れておられるようで、地方創生のためにもぜひとも観光の町として成功して頂きたいと思います。