コラム

「休日メール」と残業、残業代(労働問題)

退職後の懲戒処分(労働問題)

先日とあるニュース番組を見ていたところ、労働者の方が休日の前日(金曜日)の夕方に上司から「月曜日までにプレゼンの資料を作るように」と指示され自宅に持ち帰らないと業務が間に合わない状況におかれたり(かならずしも残業は明確には命じられてはいない)、あるいは、休日にも業務上のメールが上司から沢山あり労働者の方が休日に処理しなければ業務が遂行できない会社が紹介されていました。

昨今のIT化の進行とともに必ずしも職場にいなくても仕事ができてしまうことから、このようないわゆる「持ち帰り残業」が問題になっています。

このような労働を負担させることは「労働時間」の制限を定める労働基準法等の法律上問題はないのでしょうか。

つまり、労働基準法は、労働者を一日8時間以上、週40時間以上働かせてはならないと規定し、一定の例外要件のもと時間外労働(残業)を認めているに過ぎませんが、「持ち帰り残業」はかかる規定との関係で問題は生じないのでしょうか。

一般的に労働基準法上の労働時間とは使用者(雇用側)の指揮監督下にある時間です。

そこで、使用者が明確に労働者に時間外の業務を命じたのであれば指揮監督下の業務であり労働時間にあたりますので、労働基準法の時間以上残業をさせることは労働基準法違反となります。

他方、納期の迫った業務を直前に与えながら明示的に残業を命じていない場合や「休日メール」を会社が黙認しているような場合、労働者が行なった自宅等での仕事は使用者の指揮監督下の労働と評価しうるかが問題になりますが、このような状況下に労働者を置くことは黙示的な残業の業務命令であると考えられます。

そのため、労働者が自宅等で行なった労働は当然使用者の指揮監督下にあると考えられ「労働時間」に該当すると考えられます。そこで、労働基準法上の時間制限を超えて「持ち帰り残業」させた場合、労働基準法違反となると考えられますし、当然残業代を支払わなくてはならないということになります。