破産しても保有できる財産とは
破産することになった場合全ての財産を失うのかといえばそのようなことはありません。破産者の方には今後の生活があることから一定の財産の保有が法律上認めらています。
これを自由財産と言います。主なものは次の通りです。
①99万円までの現金
②生活に欠くことのできない衣服、寝具、家具、台所用品、1ヶ月間の生活に必要な食料、燃料
③小規模企業共済、中小企業退職金共済、建設業退職金共済
①と②は生活のための必要最小限の資産として認められます。③については「退職金」に類似するものとして保有が認められます。
追加で自由財産と認められる財産
また上記の財産に該当しなくても、その評価額が現金と合計して99万円までの一定の財産は裁判所に申し出ることによりさらに追加の自由財産として保有が認められます。
これを自由財産の拡張と言います。追加の自由財産として認められる主な財産は下記です。
①預貯金(これは現金と同視できるからです)
②信用金庫の出資金(これも現金と同視できるからです)
③保険の解約返戻金
④自動車(査定書を取得して評価額の証明をします)
なお初年度登録から7年を経過した車両(新車価格300万円未満の車両)は無価値と判断されています。
⑤敷金・保証金返還請求権
上記の財産のうち自由財産として認められる部分はあくまで現金と合計して99万円までですので、例えば現金10万円、預貯金80万円、保険の解約返戻金50万円の場合(総合計140万円)、そのうち99万円までの部分は自由財産として認められますが、残りの41万円は自由財産としては認められないことになります。
なお、破産者の方が不動産や売掛金、あるいは貸付金などを有していた場合に、その評価額が現金と合計して99万円以内に収まっていても自由財産の拡張は認められません。
99万円を超えても例外的に自由財産として認められる場合
破産者の方が高齢であったり、収入を得る見込みがないとき、あるいは病気を抱えている場合など99万のみでは生活が立ち行かないことが明らかである場合などは例外的に99万円を超えても自由財産の拡張が認められる場合があります。例外的なケースですので認められることは多くありませんがそのような事情を裁判所に説明して自由財産の拡張の申し出を行うことになります。
まとめ
以上見たとおり、破産しても一定の財産は保有することができ当面の生活には支障が生じない配慮がなされています。
破産をお考えの場合は気がかりなことが多いと思いますが、ご心配の点がありましたらお気軽に弁護士にご相談ください。