再婚とは、結婚歴が2回目以降の婚姻を意味します。近年、再婚は珍しいことではなく、婚姻した夫婦の約4組に1組が再婚であるとされています。
再婚を考える際、特に離婚歴がある場合、初婚時との違いが気になるところです。再婚時の手続きは基本的に初婚と同じですが、子どもがいる場合など、状況に応じて注意しなければならないポイントや手続きが異なることがあります。そこで、今回は再婚に伴う養育費や戸籍の扱いなど、具体的な注意点について詳しく解説します。
再婚の基本
再婚とは、最初の配偶者と離婚や死別を経て、別の相手と結婚することを指します。一般的に、二度目以降の婚姻が再婚と呼ばれます。
再婚禁止期間(※2024年廃止)
かつて「再婚禁止期間」という規定が民法733条に存在していました。この規定は、女性に対して前の婚姻が解消されてから100日以内の再婚を原則として禁止していたものです。しかし、2024年の民法改正により、再婚禁止期間は廃止されました。
再婚すると戸籍はどうなる?
再婚すると、あなたと再婚相手は自動的に同じ戸籍に入ります。ただし、苗字が異なるままでは同じ戸籍に入ることができません。そのため、どちらか一方が戸籍の筆頭者となり、苗字を変更する必要があります。
ただし、現在国会で議論されている夫婦別姓制度が可決をした場合取り扱いが変わる可能性があります。
再婚するための手続き
再婚の手続きは、基本的に初婚と同じで非常にシンプルです。再婚相手と一緒に婚姻届を提出すれば、それだけで再婚の手続きは完了します。
その後、入籍が完了したら、以下の手続きも忘れずに行うことが重要です。
(1)住民票や社会保険の手続き
(2)苗字が変わる場合は、銀行やカード、契約書類などの名前変更手続き
もしあなたまたは再婚相手に子どもがいる場合、子どもの心のケアだけでなく、いくつかの手続きが必要になることもあります。この後、子どもに関する具体的な手続きについて説明します。
どちらかに子どもがいるときの再婚
再婚する際、あなたや再婚相手に子どもがいる場合、あなたと再婚相手は同じ苗字を使い、同じ戸籍に入りますが、このままだと子どもの苗字や戸籍は変わりません。そのため、再婚前に子どもの戸籍や名字について考慮しておく必要があります。
また、子どもの養育に関する責任や相続権などについても、再婚前にしっかりと考え、準備しておくことが重要です。再婚するだけで、養親が自動的に子どもと養子縁組を行うわけではありませんが、養子縁組をしていない場合、例えば、健康保険の扶養家族として扱われないことがあります。子どもが世帯主と同じ健康保険に加入するには、同居していることが求められる場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。
養子縁組・特別養子縁組とは
養子縁組と特別養子縁組は、子連れ再婚において非常に重要な選択肢となります。これらは、法律上、血縁関係がない者同士を親子関係として認める制度です。
まず、養子縁組とは、血縁関係がない者同士が法律上の親子関係を結ぶことを指します。民法第809条では、養子は縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得することが定められています。つまり、養子縁組を結んだ日から、養子と養親は法的に親子となり、養子は実子と同じように法定相続人となります。また、扶養義務も発生します。
ただし、養子縁組をした場合、特に元配偶者から養育費を受けていた場合、養子縁組により養育費が受け取れなくなる可能性もあります。この点は、再婚前に十分確認しておくべき重要なポイントです。
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2つの種類があります。
普通養子縁組(一般養子縁組)制度
普通養子縁組(一般養子縁組)制度は、子どもが血縁関係を持つ実親との親子関係を維持しながら、新たに養親との法律上の親子関係を築くことができる制度です。つまり、再婚時に行われる養子縁組の多くは、この普通養子縁組になります。
二重の親子関係
養子となった子どもは、実親との親子関係を維持しながら、養親との新たな親子関係も築きます。つまり、子どもは実親と養親、両方の親子としての権利を持つことになります。
相続権
養子となった子どもは、養親の遺産も相続する権利があります。同様に、実親の遺産も相続対象となります。つまり、子どもは二重に相続権を持つことになります。
扶養義務
子どもに対する扶養義務は、実親にも残ります。万が一、再婚相手とあなたが子どもを扶養できなくなった場合、実親が扶養義務を負うことになります。
特別養子縁組制度
特別養子縁組制度は、子どもにとって実親との親子関係を完全に断ち、養親を実親と同じ法的地位に置く制度です。これにより、子どもは養親の法定相続人となり、実親との関係が切断されます。この場合、養子となる子どもは「特別養子」と呼ばれます。
実親との関係の断絶
特別養子縁組では、養子は実親との親子関係を完全に断絶し、養親との関係のみが法的に認められます。そのため、実親に遺産があっても相続することはできません。
相続権
特別養子は、養親の遺産を相続することができますが、実親の遺産を相続することはできません。これにより、養親との関係が完全に法律上の親子関係として認められますが、実親との法的な関係は消失します。
条件と手続きの厳格さ
特別養子縁組を成立させるためには、民法第817条の2から第817条の9に定められた厳格な条件を満たす必要があります。例えば、原則として6歳未満の子どもが対象となり(民法第817条の5)、また、家庭裁判所の許可が必要です(民法第817条の2)。これにより、特別養子縁組は非常にハードルの高い手続きとなります。
目的と適用範囲
特別養子縁組は、主に児童福祉のための制度であり、子どもが適切な養育環境に置かれていない場合、別の家庭で養育を受けるために認められるものです。基本的に、再婚のケースで 利用されることは稀です。当事務所では再婚によって特別養子縁組を結んでいるケースを確認したケースは現在のところ有りません。
子どもを、あなたか再婚相手の養子にして、同じ戸籍に入れる場合
再婚時に、あなたや再婚相手の子どもを養子にして、同じ戸籍に入れる場合、一般的には普通養子縁組を行います。これは、子どもとの親子関係を法律上結びたいときに選ばれる方法です。
手続きの簡便さ
普通養子縁組は、手続きが比較的簡単です。子どもが15歳未満の場合、養親になる者か子ども本人の本籍地がある市区町村の役所に養子縁組届を提出するだけで成立します。
15歳以上の子どもの場合
もし養子となる子どもが15歳以上の場合は、子ども本人が養子縁組届を作成、提出する。
婚姻届とセットで手続き
婚姻届と養子縁組届をセットで提出することで、再婚相手との婚姻が成立し、子どもとの法的な親子関係も結ばれます。この手続きを行うと、子どもは新たな親の戸籍に入ることになります。つまり、子どもと養親は同一の戸籍に入り、親子関係が法的に確立されます。
普通養子縁組を行うことで、子どもと再婚相手(またはあなた)との法的な親子関係が結ばれ、戸籍が同じになるため、再婚後の家族関係をしっかりと法的に整えることができます。手続きも比較的簡単で、子どもの年齢によっては同意を得るだけでスムーズに進められます。
子どもを、あなたか再婚相手の養子にせず、同じ戸籍に入れる場合
再婚時に、子どもを養子にせず、あなたや再婚相手と同じ戸籍に入れたい場合、子どもの苗字を変える必要があります。これは、戸籍に同一の苗字で入ることが基本的な要件だからです。
苗字変更の手続き
子どもが実親とは異なる苗字を持っている場合、まずは家庭裁判所に子どもの氏変更許可の申し立てを行う必要があります。この手続きにより、子どもの苗字を再婚相手(またはあなた)と同じ苗字に変更できます。
- 子どもが14歳以下の場合: 親権者(通常は母親)から申し立てを行います。
- 子どもが15歳以上の場合: 子ども本人が申し立てを行います。
苗字変更後の手続き
子どもの苗字を再婚した親と同じに変更した後、その苗字を使って戸籍に入れるための手続きを行います。市役所の戸籍窓口で、「母(父)の氏を称する入籍届」を提出することで、子どもの苗字を再婚相手(またはあなた)の苗字にして、同じ戸籍に入れることができます。
この手続きにより、養子縁組をせずとも、子どもの苗字と戸籍を再婚した二人と同じものにすることが可能です。
例外の場合
再婚後、もし子どもの実親が戸籍の筆頭者となっている場合で、子どもが再婚後も苗字を変えない場合、特に手続きは必要ありません。この場合、子どもはそのまま実親の戸籍に留まり、再婚相手やあなたとは別の戸籍となります。
子どもを養子にせず、同じ戸籍に入れるためには、子どもの苗字を変える手続きを行い、その後、市役所での入籍手続きを進める必要があります。これにより、養子縁組なしで子どもと再婚相手が同じ戸籍に入ることができます。
子どもを、あなたか再婚相手の養子にせず、元の戸籍に残す場合
再婚に伴い、子どもを養子にせず、元の戸籍に残すケースでは、子どもが苗字を変えたくないと主張した場合など、特にその選択が重要となります。このような場合、子どもは元の戸籍にそのまま残すことができます。
苗字はそのまま
子どもが苗字を変えたくないと主張した場合でも、子どもはそのまま元の戸籍に留まり、苗字もそのまま使用することができます。この方法であれば、再婚しても苗字が変わるのは親の方だけで、子ども自身の苗字や戸籍は変わりません。
戸籍の筆頭者は変更
再婚により、戸籍の筆頭者は変更されますが、子どもだけは元の戸籍に残ることが可能です。これにより、子どもは実親との親子関係を維持したまま、再婚した親とは別々の戸籍で生活することになります。
扶養や養育に不都合はない
子どもが元の戸籍に残ることで、実親との扶養義務や養育責任は変わりません。再婚後も実親と子どもの間で扶養関係が維持され、実際的な生活上の不都合は生じません。また、再婚相手が子どもを養子にしなくても、養育においての義務や権利は別途話し合いの上で決めることができます。
子どもを養子にせず、元の戸籍に残したい場合、子どもの苗字はそのまま維持でき、実親との親子関係もそのままで生活に不都合はありません。再婚相手の戸籍に入れない代わりに、実親との戸籍を保持しながら、再婚生活を送ることができます。
再婚は養育費に影響する?
以前の配偶者などとの間に養育費のやり取りがある中で再婚をした場合、養育費にはどのように影響するのでしょうか?
養育費を支払っている側が再婚した場合と、養育費を受け取っている側が再婚をした場合とに分けて解説します。
養育費を支払う側が再婚した場合
養育費を支払っている親(通常、親権を持っていない側)が再婚した場合、再婚によって養育費が自動的に減額されるわけではありません。ただし、再婚によって生活費が増加した場合や、再婚相手にも子どもがいる場合など、再婚後の経済的負担が増えることで、養育費の減額を求めることは可能です。
しかし、養育費の減額には相手方の同意が必要で、合意が得られない場合は、調停や審判を通じて正式に減額を決定する必要があります。再婚による経済的な事情が養育費の減額を認める理由として十分とされることもありますが、それが即座に認められるわけではないので、交渉を通じて解決することが重要です。
養育費を受け取る側が再婚した場合
養育費を受け取っている親が再婚した場合、再婚相手の収入や経済状況が新たな生活に影響を与えることから、養育費が減額される可能性があります。特に再婚相手と子が養子縁組をした場合、再婚相手が法的扶養義務負うので、養育費減額の可能性が高くなります。
減額の手続き
養育費の減額を希望する場合、まずは相手との交渉が求められます。相手が減額に同意しない場合には、調停や審判を通じて、裁判所に養育費の金額を見直してもらう必要があります。裁判所では、双方の収入や生活状況を総合的に考慮し、減額を認めるかどうかを判断します。
再婚に関するよくある疑問
再婚したことは元配偶者にわかる?
再婚したことが元配偶者にわかるかどうかについては、子どもがいるかどうかに大きく関わっています。
1. 子どもがいない場合
元配偶者との間に子どもがいない場合、基本的には再婚したことが元配偶者に知られることはありません。これは、元配偶者が再婚したことを確認したり調べたりする方法がないためです。
2. 子どもがいる場合
一方、子どもがいる場合は状況が異なります。元配偶者は子どもの戸籍謄本を取得すれば、再婚したことがわかってしまう可能性が高いのです。
ただし、元配偶者が子どもの戸籍を確認しない限り、再婚したことは知られません。
連れ子は再婚相手の相続人になる?
原則として、連れ子に再婚相手の相続権はありません。単に親が再婚をしただけであれば、連れ子と再婚相手との間に親子関係は生じないためです。
一方、連れ子が再婚相手の養子になった場合には、再婚相手と連れ子との間に法的な親子関係が生じるため、連れ子は再婚相手の相続人となります。
先ほど解説したように、子どもが再婚相手の普通養子になったからといって、実親である元配偶者との親子関係が終了するわけではありません。そのため、仮に元配偶者が死亡した場合、子どもに相続権があることとなります。