取扱業務

刑事事件

1. はじめに

ある日突然、ご家族や恋人が逮捕されたら平穏な日常生活が奪われるのみならず、逮捕された方は身柄拘束が長期化すると仕事を失い、生活基盤そのものを失う可能性があります。
日本の刑事司法では、以前に比べてずいぶんと改善されてきたとはいえ、身柄拘束が安易に認められまた長期間継続されることも少なくありません。
また、「冤罪」に象徴されるように、犯罪を犯していないのに犯人扱いをされ執拗に自白を迫られるケースもいまだ残っています。

当事務所ではこれまで多数の刑事裁判を扱い裁判員裁判も複数件担当するなど多様な刑事裁判の経験がございます。

また、迅速な弁護活動を遂行することにより早期の身柄開放を実現したケースも多々ございます。刑事事件でお困りでしたら当事務所にご相談下さい。以下、刑事手続の概要について説明いたします。

刑事事件

2. 刑事手続の基礎

(1)捜査段階

逮捕被疑者(罪を犯したと疑われている方)に対して最初に行なわれる短期間の身体拘束処分です。逮捕手続きは最長72時間です
勾留被疑者が身柄を拘束された時から最長72時間以内に検察官が更なる身柄拘束が必要と判断すれば裁判所に対して勾留の請求を行います(刑事訴訟法204条、205条等)。
同勾留請求を裁判所が必要と認めた場合、被疑者は最長10日間身体拘束を受けることになります。
10日間の勾留では捜査が完了しないと検察官が判断すればさらに10日間裁判所の許可のもと勾留が延長されることがあります(刑事訴訟法208条)。

(2)検察官による処分

10日あるいは20日間の勾留の満期近くに検察官が刑事処分を決定します。日本の刑事制度では、検察官がもっぱら刑事処分を決定します。処分の種類は主に下記の種類があります。

不起訴処分
(嫌疑不十分)
罪が認められないとして釈放されるものです(刑事訴訟法208条)。
不起訴処分
(起訴猶予)
罪は認められるが処分を年齢・性格・境遇・罪の軽重や情状から起訴するまでもないとして釈放されるものです(刑事訴訟法248条、刑事訴訟法208条)。
略式命令罰金刑がある犯罪で被疑者が罰金刑に同意した場合に、正式な裁判を経ずに罰金刑が科されるものです。
起訴検察官により起訴され正式な刑事裁判に移行するものです(刑事訴訟法246条)。法廷ドラマでよくあるように場合によっては裁判所で証人尋問などが行われます。

(3)公判

起訴されると、証拠が弁護側に開示されますので、証拠を検討して被告人の方と公判の方針を決め期日に望むことになります。
なお、認め事件でも刑事裁判は起訴から裁判終了まで短くとも1ヶ月半程度の期間がかかります。否認事件の場合には、半年を要することも少なくありません。そして身柄事件の場合公判中も原則として身柄拘束が続き被告人の方の精神的・肉体的負担は大きくなります。そこで、「保釈」手続きなどにより身柄拘束を求めていくことになります。

3. 弁護士が行うべき弁護活動

(1)捜査段階

接見身柄拘束されている方と接見(面会)を行い取り調べに対するアドバイスを行います。
特に、犯罪を否認されている方には「黙秘権」を十分に説明して無理な自白や不利益な調書を作成されないように十分にアドバイスします。また、頻繁に接見を行い状況の確認及び精神的な励ましを行います。
被害者との示談被疑者が犯罪を認めている場合は、被害者の方と連絡をとり示談の申し入れを行います。
一般的に示談の成立は刑事処分において罪を軽減する大きな要素になります。検察官に対して示談書を提出するなどによって、処分を軽減するように働きかけを行います。
身柄開放に
向けた活動
身体拘束する必要性がないのに不必要に身体拘束をされていると考えられる場合、「準抗告」手続きなどにより早期に身柄開放に向けた手続きを行います。
実際に、当事務所では「準抗告」や裁判官に対する「勾留延長請求却下の申入」等により、早期に身柄の解放を行ったケースもございます。

(2)公判段階

裁判対応否認事件に関しては、検察官立証が成り立たないことを争います。
また認め事件の場合は情状を主張して刑の軽減を求めます。
身柄開放に
向けた活動
「保釈」手続きなどにより早期に身柄開放に向けた手続きを行います。
保釈金は、一般的に150万円~200万円程度が相場といえます。